Amazon EventBridge を利用して AWS 運用自動化の手がかりにしませんか?
AWSを利用していて、「これ毎回やるのめんどくさいな」とか「自動化できないかな」とか思ったりしたことあるのではないでしょうか。そんなあなたに!自動化の手がかりになる Amazon EventBridge を紹介させてください。
目次
AWSサービス Amazon EventBridgeとは?
Amazon EventBridge は、 AWS を利用したイベント駆動型サービスです。
これにより AWS やアプリケーションのイベントをトリガーとして特定の動作を自動実行するよう指示することができます。つまり Amazon EventBridge は、AWS サービスやアプリケーションで指定した条件を元に他の AWS サービスやアプリケーションに対して特定の動作を行う橋渡しを行ってくれるサービスとなります。
Amazon EventBridge は、あらゆる規模のシステムに適用でき、リアルタイムのアプリケーション統合、データパイプラインの自動化、複雑なワークフローの管理などの用途に使用することができます。この記事では、 Amazon EventBridge の基本的な部分について触れていきたいと思います。
AWSサービス Amazon EventBridge の構成要素
Amazon EventBridge にはいくつかの主要なコンポーネントがあるので、それぞれご紹介していきます。
1. イベントソース
イベントソースは、イベントバスにイベントを送信する対象です。AWS サービス(例: S3、EC2)、またはカスタムアプリケーションがイベントソースになりえます。これらはあるアクションが発生した際(例:ファイルが S3 バケットにアップロードされた時)にイベントを生成し、イベントバスに送信します。
2. イベントバス
イベントバスは、イベントの中継点として機能し、受信したイベントを適切なターゲットに送信します。デフォルトのイベントバスとカスタムイベントバスがあり、イベントの収集、管理、およびルーティングを担います。
※ AWS サービスからのイベントを受ける際は、デフォルトのイベントバスを利用します。
3. イベントパターン
イベントパターンは、イベントバスに到達するイベントに対して適用されるルールです。特定の条件や属性(例:イベントのソースなど)に基づいて、どのイベントがターゲットに送信されるかを決定します。例えば、特定の S3 バケットからのイベントのみを選択する、特定のエラーコードを含むイベントをフィルタリングするなどが可能です。
4. ルール
ルールは、イベントバスに到達したイベントが特定のターゲットに送信されるべきかを決定します。ルールはイベントパターンとターゲットを関連付けます。イベントが特定の条件を満たした場合にのみ、ターゲットに送信されるようにします。
5. ターゲット
ターゲットは、イベントバスから送信されたイベントに応答して特定のアクションを実行する対象です。 AWS Lambda 関数、 Amazon SNS トピック、 Amazon SQS キュー、 Amazon Kinesis ストリームなどの多くの AWS サービスがターゲットとして使用できます。イベントに基づいて特定の処理を実行します(例:データ処理、通知送信など)。
これらの要素が連携して、 Amazon EventBridge はイベントの収集、フィルタリング、配信を行い、様々な AWS サービスやカスタムアプリケーション間の統合を可能にします。
AWS環境でAmazon EventBridgeを動かしてみる
Amazon EventBridge を使用してイベント駆動型アプリケーションを構築するときの手順をご紹介します。今回は、 Amazon EventBridge を知らない初学者向けに簡単な構成を例に説明します。
※ EC2 インスタンスが停止されたときに SNS で通知する構成とします。
※ 前章と構成の紐づけ
1. イベントソースとイベントターゲットを作成最初に、イベントを生成するソースを設定
AWS サービス、アプリケーション、または外部サービスからイベントを受信するように Amazon EventBridge を設定します。
今回の構成では、イベントソースには EC2 インスタンス、イベントターゲットは SNS トピックになります。
<今回のイベントソース>
<今回のイベントターゲット>
2. ルールを作成する
次に、イベントソースから送信されるイベントに基づいて実行されるルールを作成します。このルールは、イベントパターンや特定の条件に一致するときに、どのターゲットにイベントを送信するかを定義します。
<今回は EC2 が停止した場合>
3. ターゲットを指定する
ルールに一致するイベントがある場合、それを処理するターゲットを指定します。ターゲットは Lambda 関数、 SNS トピック、 SQS キューなど、さまざまな AWS サービスが使用できます。ターゲットでのイベント処理方法には事前に必要な設定を行います。
<今回のターゲットは 1 で作成した SNS が対象>
4. テストとデバッグ
設定が完了したら、実際のイベントを使用してシステムをテストし、問題がないことを確認します。テスト中に問題が発生した場合は、ログとモニタリングツールを使用して問題を特定し、修正します。
< EC2 を停止する>
<通知がメールで確認する>
<メトリクスも確認>
Amazon EventBridge ユースケース
Amazon EventBridge は柔軟性があります。この章では、ユースケースをいくつか紹介します。
1. マイクロサービス間のコミュニケーション
Amazon EventBridge を使用すると、独立したサービス間でイベントをシームレスに共有し、連携させることができます。例えば、注文サービスが新しい注文を受けたときに、在庫管理サービスや配送サービスに通知することができます。
2. リアルタイムデータ処理
Amazon EventBridge を使用すると、データストリームからイベントを受信し、そのデータに基づいてアクションを起こすことができます。例えば、 SNS のトレンドをリアルタイムで監視し、特定のキーワードがトレンドになった時点でマーケティングキャンペーンを自動的に開始するなどが例になります。
3. システムの自動化と統合
Amazon EventBridge は、異なるシステムやサービス間の統合と自動化を容易にします。例えば、 CRM システムからの顧客データ更新を受け取り、それに応じてメーリングリストやサポートチケットを自動的に更新することができます。
4. カスタムイベントの処理
システム特有のイベントを定義し、特定のルールに基づいて処理を行うことができます。 Amazon EventBridge を使用すると、これらのカスタムイベントを効率的に処理し、必要なアクションを自動的にトリガーすることが可能です。
Amazon EventBridgeで抑えておくべきポイント
Amazon EventBridge の効率的な使用は、システムのパフォーマンス、コストの最適化、そして全体的な信頼性に影響します。以下に、 Amazon EventBridge を使用する際の抑えておくべきポイントを紹介します。
1. イベントパターンの適切な定義(フィルタリング)
適切なイベントパターンを定義することで、イベントをフィルタリングし、必要なイベントのみをターゲットに送信できます。これにより、無駄な処理を減らし、システムの効率を高めます。
2. リソースの効率的な利用
Lambda 関数や他のターゲットリソースを適切に設定し、過剰なコストがかからないように管理します。使用量とパフォーマンスを監視し、必要に応じてリソースを調整します。
3. エラー検知
Amazon EventBridge を使用する際は、エラー検知を確立します。ターゲットが一時的に利用できない場合やエラーが発生した場合に備えて、リトライやエラーに気づける仕組みを設定します。
4. 監視とアラームの設定
AWS CloudWatch を使用して Amazon EventBridge のパフォーマンスとイベントのフローを監視します。異常な動作やパフォーマンスの低下が検出された場合に通知を受けるためのアラームを設定します。
5. ドキュメントと知識の共有
Amazon EventBridge の設定とアーキテクチャの詳細をめとめ、チーム内で知識や仕組みを共有します。これにより、システムの理解を深め、将来的な問題の解決に繋がります。
Amazon EventBridgeまとめ
Amazon EventBridge の基本、構成要素、ユースケース、抑えておくポイントについて説明しました。
個人的には Amazon EventBridge はただのツールではなく、 AWS 運用のとって無限の可能性を持っているサービスだと思っています。このブログをきっかけにあなたの AWSにまつわる業務の自動化の手がかりになればと思っております。それでは!
元記事発行日: 2024年02月12日、最終更新日: 2024年02月28日