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AWS ( Amazon Web Services )と Azure( Microsoft Azure )について比較してみました

AWSの運用監視を実施する業務における営業活動の中で、お客様や事業パートナー様とお話しする際に、「最近 Azure の活用が増えている」、というお話をよく耳にします。

また、今後どちらを選択すればいいの?という疑問もよくお聞きすることから、いま市場におけるサービスの実態がどのような状況なのか、またそのサービスにどのような特徴があるのか、本ブログではAWSは知っているけど、これからAzureの内容について理解したいと思われる方向けにそれぞれのサービスを様々な観点から比較し、その実情に迫りたいと思います。

今後新規でサービスをご検討なされる企業のご担当者様や単に両社の違いについて知りたい方など、本ブログをご覧いただきお役に立てていただけましたら幸いですl

 AWSとAzureの基本情報のご紹介とトピックス比較について

 AWS ( Amazon Web Services )と Azure ( Microsoft Azure )は、それぞれ Amazon 社と Microsoft 社が提供しているクラウドコンピューティングプラットフォームです。両社は世界で最も人気のあるサービスプロバイダーであり、常に機能やサービスを更新しています。

-市場でのポジション比較

 AWS は 2006 年にスタートし、長い期間に渡る経験を持ち最も成熟したクラウドプラットフォームの一つとされており、現在シェア No. 1 を誇ります。

 Azure は 2010 年にサービス開始され、市場参入は AWS よりもあとですが、特にエンタープライズ市場において迅速に成長しており、多くの Microsoft ユーザーに採用されています。

-サービス範囲

 AWS は非常に広範なサービスカタログを提供しており、コンピューティング、ストレージ、データベース、機械学習、 AI 、 IoT など、 200 以上のクラウドサービスがあります。

 Azure も同様に多岐に渡るサービスを提供していますが、特に Microsoft の製品、例えば Windows Server 、 Active Directory 、 SQL Server などとの統合に優れています。

-インフラストラクチャと可用性の比較

 AWS は広範囲のグローバルデータセンターネットワークを有しており、全世界で 32 ある「リージョン」というそれぞれ地理的に離れた領域と、各リージョン内の独立した場所で多くの地域で利用可能な 102 ある「アベイラビリティゾーン」と呼ばれる多数の冗長データセンターを提供しています。 

 Azure もグローバルで 60 以上のリージョンを有しています。また AWS と基本的に同意の「アベイラビリティゾーン」も数量は公開されていませんが存在します。

-開発者との関係

 AWS は開発者コミュニティと強い関係を築いており、スタートアップやデジタルネイティブな企業に人気があります。

Azure は VisualStudio との統合や、 .NET 開発者に親和性の高いサービスを提供しており、 Microsoft の開発ツールを使っている開発者に好まれます。

-プライシングモデル

両社とも従量課金モデルを提供していますが、具体的な価格設定、割引、リザーブドインスタンス、長期的な契約のオプションなどの面で差異があります。各プラットフォームは、使用状況に合わせた最適なプランを提供するために異なる料金体系を用意しています。

 AWS、Azure及びその他クラウドサービスのシェア比較と動向について

調査会社である米 Synergy Research Group 社より、 2023 年第 1 四半期のクラウドインフラのシェアが発表されています。ここでいうクラウドインフラとは、 IaaS 、 PaaS 、ホステッドプライベートクラウドをあわせたものです。

下記が Synergy Research Group の調査結果グラフです。 AWS のシェアは 32 %、米 Microsoft が 23 %とシェアを伸ばしています。

この結果からみるポイントは、 AWS のシェアと Azure のシェアの差がついに 2 桁を切っていること( 9 ポイント)です。

これを見ただけでも Azure のシェアが伸び、勢いがあることが理解できます。この調子だと将来 Azure のシェアが AWS に追いつくと見ることもできるのではないでしょうか。

そして第 3 位である Google Cloud が 10 %となっており、第 2 位の Microsoft Azure とは 13 ポイントとその差が大きくなっています。

シェア第 1 位の AWS と第 2 位の Microsoft Azure のシェアの合計が 35 %となっているため、この 2 社で市場全体の約 1 / 3 を占めており、まずこの 2 社の存在感はこの先当面の間維持するものと見てよいかと思われます。

引用元:https://www.srgresearch.com/articles/q1-cloud-spending-grows-by-over-10-billion-from-2022-the-big-three-account-for-65-of-the-total

ただ、シェアがサービス導入検討時の指標の全てでもないのですが、今後益々 Microsoft Azure が追い上げを図っていくことは簡単に予想がつきます。それを裏付ける動きとして、 Microsoft 社から発表されている 2025 年 9 月 30 日における SPLA ライセンスの提供停止があげられます。

まず SPLA とは、 Microsoft Service provider License Agreement の略称で、対象のマイクロソフト製品のライセンスを取得して、ソフトウェアサービスやホストアプリケーションをエンドユーザーに提供するサービスプロバイダおよび Independent  Software Vender( ISV )向けのプログラムです。

以下、関連する記事の抜粋です。

アウトソーシングに関するSPLAプログラムのアップデート

SPLA は設立当初、パートナー様が自社のデータセンターからホスティングサービスを提供することを目的としており、マネージドサービスプロバイダーが SPLA を通じて購入し、他社のデータセンターでホスティングを行うことは想定していませんでした。私たちは、 2022 年 10 月から SPLA プログラムを変更し、プログラムの意図、および他の商用ライセンスプログラムとの整合性を高めています。ホスティング事業者のエコシステムを強化し、従来のアウトソーサーやデータセンター事業者を奨励するため、 SPLA の条件を変更し、 Listed Provider のデータセンターで SPLA ライセンスをアウトソーシングする機能を削除する予定です。この変更により、従来のアウトソーサーやデータセンター プロバイダーは恩恵を受け、ホスティング パートナー様のエコシステムを促進することができるでしょう。この変更の影響を受ける SPLA パートナー様は、 2025 年 9 月 30 日までに、 SPLA アウトソースホスティングの Listed Provider から移行するか、 SPLA 外の Listed Provider からライセンスを直接取得する必要があります。

引用元:Microsoft社ブログ

この決定により、多くの Microsoft 製品ユーザーが影響を受けることとなります。そして、現在考えられる対応策は以下が想定されます。

  •  Microsoft 製品の利用をやめ、他の製品へ移行する
  •  Microsoft 製品をバンドルし提供しているサービスを利用する
  •  Listed Provieder である AWS 、 Google Cloud 、 Alibaba Cloud 以外のクラウドサービスへ移行する

このような動向が今後の全体のシェアに影響を与えることは予測できます。
Microsoft Azure への移行を検討、実行するクラウドユーザーも発生してくるでしょうが、これだけが Azure が勢いを伸ばす理由ではないにせよ、 Microsoft 社がシェアを伸ばそうとしている戦略であることは簡単に想像がつきます。

 AWS、Azureの注目サービスについて

各社のサービスは、それぞれのプラットフォームの強みを生かしており、 AWS は生成系 AI 、機械学習やハードウェア技術の簡単な導入を推進しています。一方、 Azure はデータガバナンスとビッグデータ分析に強みを持ち、さらに先進的な量子コンピューティングの分野にも積極的に展開しています。

 AWS の注目最新サービス

1. Amazon Q - 利用者は、自社のリポジトリ、コード、エンタープライズシステムから情報を得ることで、差し迫った問題に対する迅速且つ適切な回答を受け取り、コンテンツを作成し、また行動を起こすことが可能になります。

2. AWS Graviton4、Trainium2 - 機械学習におけるトレーニングや生成系 AI アプリケーションなど、お客様の幅広いワークロードにおいて、価格性能とエネルギー効率を向上します。

3. Amazon Bedrockへのモデル・機能追加 - Knowledge Bases for Amazon Bedrockにより、幅広い業務のあらゆるステップに生成系AIアプリケーションをプライベートに適用することが可能に、 Agents for Amazon Bedrock により、利用者の生成系AIあアプリケーションにあわせて最適化され、利用者の責任ある AI ポリシーに沿う安全対策の実装支援が可能となるほか、いくつかの機能が追加されています。

 Microsoft Azure の注目サービス

1. Azure Purview - オンプレミス、マルチクラウド、サービスとしてソフトウェア( SaaS )のデータ管理とガバナンスに特化したサービスで、組織のデータの発見、カタログ化、分類、保護を管理するための統合ツールです。データマッピングとコンプライアンスのトラッキングを簡単に行えます。

2. Azure Synapse Analytics - ビッグデータと分析のための無限にスケーラブルな分析サービスです。 Azure Data Lake Storage と統合され、リアルタイム分析や機械学習などをサポートしています。

3. Azure Quantum - 量子コンピューティング能力の実用化を加速させるためのプラットフォームです。開発者は量子アルゴリズムとアプリケーションを開発し、量子コンピューティングの力を現在のシステムに統合することが可能です。

よく利用される AWS、Azure 同等サービスの名称比較と機能のご紹介

 AWS サービスに対する同等サービスの Azure の名称と機能をご紹介します。同じサービスで AWS と Azure ではそれぞれの名称が大きく違ったり、逆によく似ていたり、いずれにしてもその対比に困惑することも多いと思われます。

サービスカテゴリ機能AWSサービスカテゴリ
コンピューティング・仮想サーバーAWS でいうインスタンスタイプと Azure VM のサイズはカテゴリとしては似ていますが、正確な  RAM 、 CPU 、ストレージの機能はそれぞれ異なっています。Amazon Elastic Compute Cloud
( EC2 )
Azure Virtual Machines
( VM )
仮想ネットワークそれぞれクラウド内の分離されたプライベート環境を提供することで同意とみなすことができます。 ユーザーは、独自の IP アドレス範囲の選択、サブネットの作成、ルート テーブルやネットワーク ゲートウェイの構成など、自分の仮想ネットワーク環境を制御することができます。Amazon Virtual Private Cloud
( VPC )
Azure Virtual Network
( VNet )
ストレージESB 上の AWS EC2 インスタンスディスクボリュームと Blob ストレージ内のデータディスクが Azure   VM に対して持続性のあるデータストレージを提供する点で類似しています。Amazon Elastic Block Store
( EBS )内のディスクボリューム
Azure Blob Storage内のデータディスク
サーバーレスコンピューティングAWS Lamda、Azure Functions いずれも、サーバーレスなオンデマンド コードを提供するという点で同類サービスと理解できます。  AWS Lambda は Azure WebJobs とも重複している機能であるため、バックグラウンド タスクをスケジュールまたは継続的に実行できます。AWS LamdaAzure FunctionsAzure App Service でのWebjobs
認証と権限承認いずれもデータのセキュリティおよび保護を提供している間、ユーザーがサービスやリソースへのアクセスを安全に制御できるようにする機能を有しています。 そしていずれも役割としてユーザーとグループを作成および管理し、アクセス許可を使用してリソースへのアクセスを許可および拒否します。Identity and Access Management
( IAM )
Microsoft Entra ID

 AWS、Azureの比較ポイントについて

仮にどちらかの選択をしなければいけない際には、適用する技術、予算の制約、チームの専門知識、または特定のビジネス戦略に依存することになります。選択者のニーズに最も合致したプラットフォームを選択して、必要に応じてパートナーや専門家のアドバイスも参考にされるとよろしいかと存じます。

最後にクラウドサービスの導入、構築、運用についてお悩みの際は、是非当社にお問い合わせください。

ターン・アンド・フロンティアではクラウドサービスの導入、構築、運用をご検討されているお客様に迅速且つ初歩的な内容から、専門技術的な内容まで詳細な情報のご提供を含めたトータル的なご支援が可能です。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

元記事発行日: 2024年02月26日、最終更新日: 2024年02月27日