【超初学者向け】AWS 上の荷物検査装置!? Amazon Macie について知ろう

企業のIT環境が急速にクラウドへ移行する中で、私たち営業の現場でも「セキュリティは大丈夫なの?」という声をお客様からいただくことが増えています。特に、機密情報や個人情報をクラウド上に保管している企業にとって、情報漏洩や不正アクセスのリスクは避けて通れない課題です。
そんな中で注目されているのが、AWSが提供するセキュリティサービスのひとつ、Amazon Macie(メイシー)です。Amazon Macieは、一言で言えば「クラウド上の機密情報を自動で検出し、可視化してくれるサービス」。セキュリティ対策の第一歩として、多くの企業が導入を進めています。
本記事では、AWS初心者の方でもわかりやすいように、Amazon Macieの基本情報からユースケース、導入のメリットまでを解説していきます。
目次
Amazon Macieとは? 〜クラウドの情報を“見える化”するサービス〜
Amazon Macieは、AWSのクラウドストレージサービスであるAmazon S3に保存されたデータを自動でスキャンし、個人情報(PII:Personally Identifiable Information)や機密情報が含まれていないかを検出・可視化してくれるサービスです。
ここで、イメージしやすいように、身近なものに例えてみましょう。
たとえば、空港の手荷物検査を思い出してみてください。
空港では、スーツケースやバッグの中に危険物や禁止物が入っていないか、X線装置でチェックされますよね。 乗客は「大丈夫だろう」と思って荷物を預けていても、知らないうちに危ないものが紛れ込んでいるかもしれません。 そこで検査装置が自動で中身をスキャンして、異常があれば係員にアラートが出る仕組みです。
Amazon Macie は、空港のX線装置のように、AWSのS3に保存されたファイル(=手荷物)を自動で検査してくれるツールです。
つまり、「クラウドに置いた荷物の中身を、自動でチェックしてくれるセキュリティ係」
それがAmazon Macieです。
現代の企業は、大量のファイルをクラウドにアップしています。中には、
「どのファイルに何が入ってるか分からない」
「担当者が勝手に個人情報を含むデータをアップしてるかも」
といった、「見えていないリスク」が潜んでいます。
Amazon Macieがあれば、その「見えない中身」をスキャンして、「これは危ないですよ」と教えてくれるので、安心してクラウドを使う土台が整うというわけです。
Amazon Macieは機械学習とパターンマッチングの技術を活用して、以下のような情報を識別します。
- 氏名、住所、電話番号
- クレジットカード番号
- マイナンバーや社会保障番号
- メールアドレス、ログイン情報
Amazon Macieは、検出した内容をもとにリスクレベルを判定し、ダッシュボード上で視覚的にレポートを表示します。まさに “ クラウドの見える化 ” を実現するツールと言えるでしょう。
Amazon Macieはどんな課題を解決してくれるの?
企業がクラウドを活用する中で、よくある課題に以下のようなものがあります。
- 「どのファイルにどんな情報が入っているか、正直わからない」
- 「誰かが誤って個人情報を含むファイルをアップしていたらどうしよう?」
- 「データは増える一方で、人手ではチェックしきれない」
Amazon Macieは、こうした課題に対して以下のように支援してくれます:
✅ 自動スキャンで “ 気づける ” 仕組みを構築
S3に保存されたファイルを定期的にスキャンし、機密情報が含まれていないかをチェックします。万が一含まれていた場合は、通知で即座に把握できます。
✅ リスクを可視化して対策につなげる
ファイルごとにリスクスコアが提示されるため、どこにリスクが潜んでいるかを明確に把握できます。「危なそうだから消そう」「アクセス権限を見直そう」といった次のアクションにつなげやすいのが特徴です。
Amazon Macieはどんな企業で活用されているの?
Amazon Macieは、以下のような企業・業界で活用されています。
- 個人情報を日常的に扱う業界
例:EC、小売、金融、保険、教育、医療など - 情報漏洩リスクの高い部署
顧客対応部門、開発部門、マーケティング部門など - コンプライアンス要件が厳しい企業
ISMS(情報セキュリティマネジメント)取得済企業や、GDPR、PCI DSS対応が求められる企業
特に最近では、「ゼロトラスト」という考え方が広まり、境界型のセキュリティ(ファイアウォールなど)だけではなく、内部の情報をどう管理するかが問われるようになっています。Amazon Macieはその一環として、内部のデータの所在と内容を明らかにするツールとして活用できます。
ある企業では、マーケティング部門のメンバーが調査資料をS3にアップロードしたところ、CSVファイル内に顧客のクレジットカード番号が含まれていることに気づかず、そのまま社内共有されてしまっていました。
このとき、Amazon Macieが定期スキャンでそのファイルを検知し、「高リスクファイル」として通知。セキュリティチームが即座に削除対応を実施し、問題の拡大を防げたそうです。
Amazon Macieがなければ、こうしたミスに気づかないまま放置されていた可能性があります。
Amazon Macieの利用料金と導入のハードル
「便利なのはわかったけど、コストが高いのでは?」という声もありますが、Amazon Macieは従量課金制のため、スモールスタートが可能です。
主な料金体系(2025年5月時点の参考情報):
- S3スキャン:1GBあたり約$1(※月初に1GB無料スキャン枠あり)
- S3メタデータ分析:月額課金制(アカウントあたり)
もちろん、スキャン対象を限定してコントロールすることもできるため、「まずは一部のバケットだけで試してみる」という運用も可能です。
導入もとてもシンプルで、AWSコンソールから数クリックで有効化できます。S3バケットを選ぶだけで、即座にスキャンが始まります。専用のエージェントなどを導入する必要はありません。
最後に
いかがでしたでしょうか。Amazon Macieは、派手なサービスではないかもしれませんが、実は「セキュリティ対策の最初の一歩」として非常に優れています。
クラウド活用が当たり前になった今だからこそ、「どこに、どんなデータがあるか」を把握しておくことが、最も重要なセキュリティ対策のひとつです。「うちのデータ、どこまで危ないのかわからない…」と不安を抱えている企業様も多いのではないでしょうか? ぜひこの機会に、Amazon Macieの導入をご検討してみてはいかがでしょうか。
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最後までお読みいただき有難うございました。

参考リンク
元記事発行日: 2025年11月26日、最終更新日: 2025年11月25日















