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AWS運用とSDGs 〜持続可能な社会に向けた取り組み〜

はじめに~AWS運用とSDGs~

 SDGs(Sustainable Developement Goals、持続可能な開発目標)への関心が、皆さまのビジネスシーンにおいても高まってきているのではないでしょうか。

SDGsは2015年の国連サミットで掲げられ、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。「人や国の不平等をなくそう」「働きがいも経済成長も」など、世界を変えていくための17の目標が提示されています。

今回はそんなSDGsとAWS運用の関わりについてお話いたします。

ビジネスにおけるSDGs

 SDGsの理念は、地球の現状を変えて、世界中の誰もが将来にわたって幸せに暮らせる世界を実現させることです。個人よりも企業の影響力の方が大きい場合も多々ありますので、SDGsへの企業の責任も自然と高まります。そのため今、多くの企業がSDGsへの取組みをスタートしています。しかし、企業側が取り組むメリットは社会への責任だけでしょうか。SDGsはビジネスシーンにおいても注目されています。

SDGsは2015年の国連サミットで採択された当時、ビジネスにおいてはそれほど高い関心を集めませんでした。しかし、2017年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で、世界の財界首脳らによる調査チームからある報告があり、状況が徐々に変わってきます。報告によると、企業が国連のSDGsを達成することで2030年までに少なくとも12兆ドルの経済価値がもたらされ、最大3億8,000万人の雇用が創出される可能性があるというものでした。この報告を契機に、ビジネスの世界でも注目されるようになりました。

SDGs関連の市場規模が12兆ドルと試算されているため、新たなビジネスチャンスが期待されています。SDGsは企業だけでなく、国家として取り組むべき課題であるため、国や行政からの助成金などの支援を受けられる可能性も高く、大企業はもちろんですが、中小企業にとってもSDGsの取組みはビジネスの可能性を広げるチャンスになりそうです。

また、ESG投資という言葉もお聞きになられたことがあるのではないでしょうか。ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮している企業を重視、選別して行なう投資のことです。ESG評価の高い企業は事業の社会的意義、成長の持続性など優れた企業特性を持つと注目されています。ESG投資は、欧米を中心に広く浸透し、年々拡大傾向にあります。今では投資家が経営の健全性を測る指標として、貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)、キャッシュフローだけではなく、社会的活動を評価の対象とする時代になってきています。企業がSDGsをはじめとする社会的な取組みを推進することは、今や大きな投資を獲得するチャンスになっています。

そして最後に、皆さまも肌で感じておられるかもしれませんが、消費者の志向も変わってきています。環境に配慮している企業や、商品を選択する傾向が強まっています。エシカル消費、エシカルファッションの意味合いで使われる、「エシカル」という言葉の認知度が3年前に比べて2倍になっているそうです。エシカル=ethicalは、直訳すると「倫理的」や「道徳的」という意味で、「エシカル消費」とは、消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことと消費者庁も定義し、推進しています。

Amazon・AWSの環境に対する取組み

 以上のように、SDGsへの注目度、関心度は企業や投資家、消費者それぞれの立場で近年増々高まってきています。そのような中、ITやクラウド市場においてはどのような状況になっているのでしょうか。ここからはAmazonやAWSにおける取組みに着目してみましょう。

Amazonは2019年、気候変動対策に関する自主的誓約(The Climate Pledge)を発表しました。Amazonはパリ協定の達成目標である2050年よりも10年早い2040年までに炭素ゼロ(二酸化炭素排出量の実質ゼロ化)を達成することを目標にしています。直近の目標としては、再生可能エネルギーの電力比率を、2024年までに80%、2030年までに100%にできるよう取り組んでいます。

多くの電力エネルギーを消費するデータセンターを運営しているAWSももちろん例外ではありません。AWSのデータセンターは気候変動対策のためにも再生可能エネルギーで運営されていくことになります。また、取組みとしては単純に再生可能エネルギーを使うということだけではありません。データセンターが気候に与える影響を分析する際には、電源構成に加えて、リソース使用率とエネルギー効率を考慮する必要があります。炭素排出量は、運用しているサーバー台数、各サーバーへの電力供給に必要なエネルギーの合計、そのサーバーに電力を供給するために使用されるエネルギー資源の炭素強度によって求められます。AWSのJeff Barrは、最近のブログで、サーバーの台数を減らし、より効率的にそのサーバーに電力を供給することは企業のデータセンターからの炭素排出量を減らす上で、電源構成と同じくらい重要であると述べています。

AWSを運用するメリットとは

 AWS運用はビジネスシーンで語られることが多い分野です。AWS運用により自社サービスの拡大や拡充、社内ITインフラ環境の最適化など、ビジネスの競争力を高めるために利用されている企業が多くいらっしゃいます。これまでお伝えしてきたように、これからのビジネスの競争力の大事なポイントに、企業としての環境への配慮やSDGsへの取組み姿勢が入ってくる可能性があります。ビジネス成長にITインフラは必要不可欠な存在です。そのITインフラをこれまで通りオンプレミスのサーバーや既存のデータセンターを使い続けるのか、それともAWSのようなクラウドを活用するのかは、コストや利便性だけでは比較できない検討課題になってくるかもしれません。

ご参考までに具体的に発表されている数字を元に、炭素排出量の観点でオンプレミスとクラウドを比較してみましょう。オンプレミスからクラウドに移行すると、使用されるサーバー数が減り、電力効率も向上するため、必要な電力量を84%削減できるといわれています。消費エネルギーが少なくなるほど炭素排出量も少なくなるため、エネルギー効率が大幅に向上すると、気候に与える影響を大幅に低減できます。平均的な企業のデータセンターの電源構成は、典型的な大規模クラウドプロバイダーよりも環境に優しくないため、それを考慮すると、気候への影響はさらに低減されることになります。大規模クラウドプロバイダー(AWSを含む)では、世界平均よりも炭素強度が28%低い電源構成を使用しています。必要なエネルギーの割合と炭素強度の低い電源構成により、クラウドとAWSに移行することで最終的に炭素排出量を88%削減できます。

AWS運用とSDGs(まとめ)

今回はAWS運用とSDGsについてお話させていただきました。

ビジネスシーンを想定してお話は進めてきましたが、AWSは個人での利用や、教育機関や研究施設など、様々な場所で活用されています。どのような利用シーンでも、これまでITインフラを検討するときの項目の中に、「環境への配慮」は含まれていましたでしょうか。これからはITインフラが必要な、企業を含む全ての方にとって、自分たちのITインフラをどこで運用するかは重要課題になるかもしれません。

元記事発行日: 2021年09月16日、最終更新日: 2021年09月16日