【超初学者向け】AWS が提供する生成 AI アプリのサンプル「Generative AI Use Cases JP (GenU)」を使って Amazon Kendra と Amazon Bedrock について知ろう
私達の生活の一部となりつつある AI 。最近では新型 iPhone や iPad に、Apple 社が開発した独自の AI、Apple Inteligence が搭載され話題になりましたね。しかし、まだまだ「生成 AI を活用できていない」「仕事で活用したいけど、具体的にどうしたらいいか分からない」という方も多いのではないでしょうか?
本記事ではそんな初学者向けの方に、生成 AI の基本から、かんたんに生成 AI アプリを構築してみることできる Generative AI Use Cases JP (GenU) と Amazon Kendra, Amazon Bedrock を使った活用例まで、ぎゅっと詰め込んでお届けしたいと思います。
目次
そもそも生成 AI とは?
AI とは人工知能のことですが、近年 AI 技術の進化が目覚ましく、さまざまな分野で活用が広がっています。その中でも注目を集めているのが「生成 AI 」と呼ばれる技術です。
生成 AI とは、テキスト、画像、音声、コードなどのデータを人工知能が生成することができる技術のことを指します。
従来の AI は、与えられたデータから何らかの判断や予測を行うことが主な役割でした。一方で、生成 AI は入力したデータから新しいデータを生み出すことができます。テキストを入力すると、関連する新しいテキストを生成したり、スケッチを入力すると、そのスケッチに基づいた画像を生成したりできます。”ゼロ”から”イチ”を生み出すことができるんですね。
身近な業務で例えると、メールの文章を生成したり、資料を作成したり…上手く使いこなすことで、優秀なアシスタントが一人ついたように単純業務の負担を軽減することができてしまいます。これは使いこなすしかないですね。
AWS の生成 AI サービス「Amazon Kendra」と「Amazon Bedrock」
AWS はクラウドベースの生成 AI サービスを提供しており、これにより企業や開発者は AI を活用した製品やサービスを構築することができます。ここでは代表的なサービスである「Amazon Kendra」と「Amazon Bedrock」を紹介します。
【Amazon Kendra】
Amazon Kendra は簡単に言うと、企業向けの”賢い”検索ツールです。社内規定のドキュメントなど企業の膨大な情報を読み込ませておくと、素早く検索し、必要な情報をすぐに提供してくれるます。社員が情報を探す時間を大幅に削減し、業務効率をアップさせます。
特徴と活用例をあげてみましょう。
質問を理解して答える
例えば、「今月の売上報告書はどこにある?」と聞けば、Kendra は関連する文書を自動的に探し出して、必要な情報を素早く提供します。これにより、膨大な資料の中から探し物をする時間が大幅に短縮できます。
カスタマーサポート
顧客からの問い合わせが多い企業では、Kendra を使って FAQ や過去の対応履歴を簡単に検索し、迅速に顧客に対応できます。これにより、カスタマーサポートがよりスムーズに行え、顧客満足度も向上します。
普通の検索エンジンでは、キーワードに基づいて情報を探すことしかできませんが、Kendra では「人が話すような質問」にも答えてくれます。
【Amazon Bedrock】
Amazon Bedrock は、企業が自社のアプリやサービスに AI を簡単に組み込めるプラットフォームです。コンテンツ生成やカスタマーサポート、クリエイティブ業務など、さまざまな分野で AI を活用できます。
これも特徴と活用例をあげてみましょう。
さまざまな AI モデルを簡単に使える
Bedrock は、文章を生成する AI(例:GPT-4o)や画像を生成する AI(例:Stable Diffusion)など、さまざまな AI 技術を簡単に使うことができ、企業は自分たちの目的に合わせて最適な AI ツールを選んで活用できます。
コンテンツの自動生成
例えば、マーケティングチームが SNS 用の投稿や広告の文を自動で作成したり、ブログ記事を生成することができます。
カスタマーサポートの自動化
顧客からの問い合わせに対して、AI を使って自動で対応できるシステムを作ることができます。例えば、AI が簡単な質問に自動で答え、難しい問題だけを担当者に渡すという流れを作ることができます。
クリエイティブな仕事のサポート
デザインや広告作成の際に、AI がアイデアを提案したり、画像やグラフィックを生成したりすることができます。これにより、クリエイティブな作業がより効率的に進みます。
Generative AI Use Cases JP (GenU) で Amazon Kendra と Amazon Bedrock を使ってみよう
AWS では、こうした生成 AI を具体的なユースケースに落とし込み、企業や開発者が活用しやすい形で提案するために「Generative AI Use Cases JP(以下 GenU)」というオープンソースの生成 AI デモアプリケーションを提供しています。
GenU では、生成 AI の初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに対応した、使いやすく充実した機能を備えています。
【ユースケース】
- チャット
- 文章生成
- 要約
- 校正
- 翻訳
- Web コンテンツ抽出
- 画像生成
- 映像分析 ・・など
GenU では、さまざまなビジネスシーンに対応したテンプレートが用意されていて、生成 AI の活用方法を具体的にイメージしやすく、初心者でもすぐに実践が可能です。プログラミングやクラウド技術に不慣れな方でも使いやすい、直感的な UI が提供されています。
また、日本市場向けに特化したモデルが利用できる点も GenU の魅力です。日本語の文法や言い回しを自然に生成できるよう、最適化されたモデルが搭載されています。日本語データセットのサポートにより、文化的なニュアンスを反映した AI の構築が可能です。
また企業で生成 AI を活用する上で最も重視されるのがセキュリティかと思います。
GenU では、企業や個人が安心して生成 AI を利用できるよう、AWS の強力なセキュリティフレームワークが適用されています。
- データ暗号化による情報保護
- 厳格なアクセス制御とログ管理
- プライバシー法規制(GDPR、個人情報保護法など)への準拠
GenU は初心者でも始めやすく、セキュリティ面でも安心できる生成 AI プラットフォームと言えるでしょう。
生成 AI の実践的な活用例
生成 AI は、さまざまな分野で実践的に活用されています。この章では、具体的なユースケースを紹介しながら、生成 AI のメリットや注意点について解説します。
【マーケティングでの活用】
マーケティング分野では、生成 AI を使ってコンテンツを自動生成することが一般的な用途です。GenU を使えば、製品の説明文や広告コピー、ブログ記事などを効率的に量産できます。
例えば、EC サイトの商品ページでは、膨大な数の製品説明が必要になります。生成 AI を活用すれば、人手で一つ一つ記述するよりも格段に効率的に説明文を用意できます。さらに、生成物をある程度カスタマイズできるため、商品カテゴリーや対象顧客に合わせた最適な説明文を生成可能です。
【クリエイティブ制作での活用】
生成 AI は、クリエイティブな制作分野でも活躍しています。Amazon Bedrock なら、テキストから画像や 3D モデル、アニメーションを生成できます。これらの生成物は、ゲームやアニメーション制作の素材として活用可能です。
例えば、ゲーム開発の場合、キャラクターの3Dモデルや背景画像を Bedrock で自動生成できます。人手で1つ1つモデリングするよりはるかに効率的です。生成物をベースに人間クリエイターがブラッシュアップを加えることで、よりクオリティの高い作品が生み出せます。
【カスタマーサポートでの活用】
カスタマーサポートの分野でも、生成 AI は活躍しています。GenU を使えば、よくある質問に対する回答文を自動生成できます。さらに、ユーザーの質問文から的確な回答を生成することも可能です。
カスタマーサポートでは、同じような質問への対応が多く発生します。生成 AI を活用すれば、そうした定型的な対応を自動化でき、オペレーターの負担を大幅に軽減できます。また、ユーザーからの質問に対して適切な回答を生成できれば、よりスムーズで的確なサポートが実現します。
【注意点とベストプラクティス】
このように生成AIには多くの活用メリットがありますが、一方で注意すべき点もあります。生成 AI は完全に正確とは限らず、間違った情報や偏りを含む可能性があるためです。また、著作権やプライバシーなどの倫理的課題にも配慮が必要です。
生成 AI を適切に活用するためには、出力された生成物をきちんと人間が確認し、必要に応じて修正を加えることが重要です。また、学習データに偏りがないかをチェックするなど、モデル構築の段階からも注意を払う必要があります。
生成 AI は、まだ発展途上の技術です。しかし、上手く活用すれば、コンテンツ制作の効率化やクリエイティブな作品の創出、カスタマーサポートの向上など、さまざまなメリットが期待できます。生成 AI の可能性を最大限に活かしつつ、リスクにも十分に気を付けながら、利用する必要があります。
最後に
いかがでしたでしょうか。本記事では初学者向けの内容でしたが、私達ターン・アンド・フロンティアでは、定期的に生成 AI の活用に関するウェビナーを開催しています。
また本記事で紹介した Amazon Bedrock や Amazon Kendra を活用した生成 AI 環境の構築も弊社にお任せいただけます。「会社で導入したいけど、自社で構築が難しい…」という方は、是非 お問い合わせ ください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
元記事発行日: 2024年12月20日、最終更新日: 2025年01月17日