Amazon EBS の gp3 をAWS運用で使ってみよう!
re:Invent 2020 で発表された gp3 。Amazon EC2 と組み合わせて使用するブロックストレージサービス「Amazon EBS」で選択できる SSD の新しい種類です。
弊社ではこれまで EBS ボリュームタイプは SSD の「gp2」でご提供をさせていただいていましたが、東京リージョンでも利用可能になったことにより、新規のご相談で「gp3」のご要望をいただくことも増えてきました。
そこで本ブログでは改めて gp3 のメリットをお伝えできればと思います。
目次
AWS運用でかかせない EBS
Amazon EBS とは Amazon Elastic Block Store の略で、Amazon EC2 向けに設計された、99.999%の可用性を持つブロックストレージサービスです。弊社でも EC2 インスタンスにアタッチし、お客様のデータやスナップショットの取得、バックアップからの復元など、運用サポートでも欠かせないサービスとなっています。
ボリュームの種類は大きく2つ、HDD と SDD があります。
さらに、
HDD の中には ─
- 旧世代ボリュームタイプのマグネティック
- 高速な スループット最適化 HDD の st1
- コストを抑えて大容量データ保存を目的とする Cold HDD の sc1
SDD の中には ─
- 汎用 SSD の gp2 と gp3
- プロビジョンド IOPS の io1
が用意されていて、用途に合わせた性能やコストで選択することができます。
EBS の gp2 と gp3 、AWS運用ではどちらが正解?
gp2 と gp3 はどちらも汎用 SSD ですが、この2つにはどんな違いがあるのでしょうか?
大きなポイントとしては以下の2点です。
- 性能の向上
- IOPS: gp2 では最低 100 IOPS だった設定値が、gp3 では最低 3,000 IOPS へと向上した。
- スループット: gp2 では 128 〜 最大 250 MB/s だったが、gp3 では 125 〜 1,000 MB/s で設定値を変更できるようになった。
- コスト削減
- ストレージのコスト単価が gp2 よりも gp3 の方が低価格になっているため、コスト削減が可能。
これだけを見ると「gp3 の方が絶対いい!」となるかもしれません。
メリットも大きいので、弊社からも今後は gp3 での構築をおすすめしていこうと思っていますが、注意点もあります。
gp2 は、ストレージ 1 GiB あたり 3 IOPS までベースラインの IOPS があるため、2 TB であれば 2,000 GiB ×3 の 6,000 IOPS がベースラインとして確保されていました。
一方、gp3 の場合は固定での設定になりますので、gp2 と同等の 6,000 IOPS 以上を求める場合は、最低 3,000 IOPS から増えた分の追加料金が発生します。このように IOPS の課金方法が変わったため、どの程度の性能を求めているのかによって価格も変動することになりました。
「…え?? じゃあ、結局安くなるの?高くなるの? どっち??」
となりますよね・・・・。
ご相談いただければ、弊社でお見積もりさせていただきますので、ぜひお声がけくださいませ。
IOPS ? スループット?? AWS運用で知っておきたい EBS の基礎知識
上記の中で出てきた IOPS とスループット。ストレージを検討する際によく出てくるキーワードです。
理解はしているものの、上手く説明しようとすると曖昧になってしまいがちなので、改めてここでまとめてみようと思います。
IOPS とは?
→ 1秒間に処理できる I/O(インプット・アウトプット)の回数、 I/O Per Second の略です。
つまり、ストレージにデータを書きこんだり、外部データを読み込んだりの処理を実行できる、1秒あたりのアクセス数のことです。
スループット とは?
→ 一定の時間で、どれだけの量のデータを転送できるかを示す処理能力のこと。
AWS の EBS の場合、MB/s (Mega bit per second) の単位のため、250 MB/s であれば「1秒あたりに最大250メガビット転送できる」ということになります。
どちらも性能指標で重要な項目となり、高ければ性能は良くなります。ただ、もちろんその分コストにも反映されますので、単純に高ければ良いということにはなりません。
また、「IOPS を重視する場合」、「スループットを重視する場合」など、様々なケースがありますので、AWS 内のネットワーク環境やリソースを踏まえて、IOPS とスループットは最適な数値をセットで検討する必要があります。
このように IOPS とスループットに求められる性能が多様化していることを考えると、設定値がある程度決まっていた gp2 から、ユースケースに合わせて最適な設定値を決めれるようになった gp3 、というのは大きな変化だということを改めて実感できました。
Amazon EBS の gp3 をAWS運用で使ってみよう!(まとめ)
新しくなればなるほど性能もコストメリットも向上する AWS らしい特長をもった EBS のボリュームタイプ「gp3」。もちろん、ケースによっては gp2 の方がおすすめのパターンもあるかもしれません。
弊社では、お客様のユースケースに合わせて最適なご提案をさせていただきますので、気になる方は右上のお問い合わせボタンからお気軽にご相談ください。
元記事発行日: 2022年06月24日、最終更新日: 2024年02月28日